「循環する通貨」~持続可能なベーシックインカム
💎定額を配り定率を回収する「循環する通貨」
地域通貨を用いた例で話しますね。このシステムでは、まず希望者に毎月定額(例えば10万円)の地域通貨を配り、地域内での購買に使用してもらいます。地域通貨を受け取った地域内の商店なども、その地域通貨を購買に使用できるので、地域通貨が地域社会の中を流通します。次に、地域内の地域通貨保有者全てから、通貨の一部を毎月定率(例えば1%)で回収します。そして、回収した通貨を次の月の定額供給に回します。
地域通貨でなくても、例えば企業が配るポイントなど、地域内で使える通貨価値なら実施可能です。ただし、この通貨は、財・サービスを交換するための「公共財」なので、企業が発行するポイントで実施する場合も、その企業の立場はその他大勢と同じです。利益誘導には使えません。あくまで、社会全体の経済を活性化するための仕組みです。
💎使い切れば回収されない
「定額供給・定率回収」の「循環する通貨」なので、供給は3万円とか5万円とか10万円とかの定額、回収は、持ってる金額に応じての定率なので、例えば3万円持ってたら定率を1%とすると300円が回収されます。回収されたくなければ使い切ってしまえばいいのです。
保有通貨の多寡に応じて回収するのは「資産税」に近い概念ですが、先にお金を配るので、抵抗は少ないと考えられます。
💎通貨を自発的&強制的に回す「循環する通貨」
この「循環する通貨」は、持ち続けてたら毎月少しずつ回収されちゃうので、自発的にみんな使い切ろうとします。なので、地域内での通貨の自発的な循環を促進します。また、お金持ちが持ち続けていたとしても、少しずつ回収されて次月の供給に回されるので、強制的な循環を起こします。これでお金持ちが溜め込むことを防げます。
定額供給・定率回収のこの「循環する通貨」システムは、このように通貨の自発的&強制的循環を起こして、地域経済を活性化します。
💎持続可能なベーシックインカム
通貨の定期的な定額供給という意味では、「ベーシックインカム」に似たシステムですが、最初に一定額の財源を確保すれば、地域通貨の定額供給→定率回収→定額供給の循環により、その後は財源を気にすることなく、半永久的に経済活性化を行うことができます。100人の人に毎月10万円を供給するために必要な金額の総額は、回収割合を1%とした場合、10億円です。10億円あれば、100人の人に未来永劫、10万円を毎月配ることができます。1億人の人に毎月3万円を配るために必要な金額は、回収割合を1%とした場合、300兆円です。アメリカは今回の新型ウィルス対策で約220兆円を投じるそうです。日本もこの際300兆円くらいやりましょう。300兆円あれば、1億人に未来永劫3万円を配り続けられます。
💎通貨の循環が必要な理由
新型ウィルスでいくらみんなが自粛しても、社会に存在する「通貨の総量」は変化しません。当たり前ですね。ということは、問題は、お金が動かなくなっていること。通貨が滞留していることが問題なんです。みんなが一斉にお金を使うのを止めると、経済が縮小するってのが、今回は本当にわかりやすいですね。でもでも実は、、この失われた数十年でずっと起きていることは、同じことです。詳細は別記事に示しますが、実は900兆円ものお金が、1年に一度も使われずに滞留・沈殿しているのです。要はそれだけ貯め込まれてるってこと。そして、その溜め込まれる金額は年々増え続けてるんですよ~。。。今回政府が注入する金額も、ほっとけば吸い込まれるように金持ちのところへ行って溜め込まれます。。そうじゃなくて、循環させなきゃ!!
💎定期的な景気浮揚効果により経済成長に寄与
「循環する通貨」のシステムでは、毎月定額x人数分の金額が新たに供給されるので、定期的な景気浮揚策になります。そして、この地域通貨が購買に使用された総額が経済効果になります。この金額がほぼそのまま、GDPの増加分になるので、経済成長にも寄与します。
でも経済成長を考えるときに忘れてはいけないのは、経済成長が目的ではなくて、万人の生活水準維持および向上が経済活動の目的なのです。経済成長はただの指標。それを忘れると、経済成長が目的になってしまって、株価だけ上がれば万々歳っていう勘違いになってしまいます。。
💎「循環する通貨」により協力型経済を日本から
このように、「循環する通貨」のシステムは、経済の「血液」 であるお金を、社会の中で強制的に循環させる「心臓」の役割を果たし、地域経済を活性化します。毎月10万円くらいをもらえたら、生きることだけは競争しなくて済む社会を作れるんじゃないでしょうか。そうすれば、職も財産も無くても生存だけは保証される社会、職も財産も無くても通貨を回すことで経済活動に参加していること、社会に受け入れられていることを実感できる社会にならないでしょうか。そうすれば、子どもたちも未来に向かってもっと自由に挑戦できる。そんな、生きることを競争しない協力型社会がベースにあれば、芸術やスポーツや技術や知識でどんどん自由に競争して行けるのでは。次世代のために、そんな社会を作りたいのです。
※詳細はこちらの論文を参照ください。
湧志創造